誰でも気軽にライブ配信で物が売れる「ピースユーライブ」を運用している合同会社ピースユー。「ピースユーライブ」は日本最大級のライブコマースアプリで、中国では2023年のライブコマース市場規模が65兆円とされており現在日本でも注目が集まっている領域です。今回は、同社の代表である藤瀬さまにお話を伺いました。サービス開発・M&A後のPMIにおけるフリーランスエンジニアの活用についてや、採用時のポイントなどについて、貴重なお話を聞かせていただきました。──会社とサービスのご紹介をお願いします。合同会社ピースユーという会社になりまして、EC運用・コンサルティング事業を手がける株式会社いつもの100%子会社となっています。私はそのピースユーの代表をつとめています。ピースユーは、ライブコマースアプリ「ピースユーライブ」を運営している会社です。アプリの中でライブ配信もできますし、出品や決済、販売商品の管理も簡単に行えるという特徴があります。ライブコマースアプリの市場において、日本最大級の規模を誇っています。──今、ライブコマース市場が大きい国はどこですか。やはり、中国ですか?はい、中国は非常に大きな市場です。2023年のライブコマースの市場規模が65兆円になっています。日本はECと実店舗、全部を含めて小売の市場全体が約130兆円なので、比較して非常に大きな市場となっており、もはやライブコマースをするかどうかという議論ではなく当たり前の商習慣になっています。──ライブコマースは、店頭での接客をオンラインで行っているようなイメージでしょうか?そうですね、それが一番近いかと思います。それに加えて、ハイブランドがテレビのような高品質なライブ配信を行っている場合もあります。たとえば、関西コレクションのようなイベントがライブ配信されていることもあります。接客要素とテレビショッピングの要素の両方を兼ね備えているのが特徴です。そのため、当社のサービスを利用している方々は40代の方をはじめ、若年層以外の方も多くいらっしゃいます。──次に、ピースユーさんの現在の開発体制について教えてください。私たちの開発チームは、基本的に業務委託のメンバーも含めて構成されています。私自身、もともとエンジニアの経験があるため、開発のマネジメントとプロダクトマネジメントを担当しています。この体制の中で、業務委託で外部の方々ともチームを組み、社内チームのように機能させています。具体的には、フロントエンドとバックエンドの担当者がおり、アプリ開発、ウェブ開発の方もいて、直近はM&A当時よりも大きな体制で開発を行っています。──アプリの開発は、iOSとAndroidの担当のスタッフに分かれている感じですか?以前はiOSとAndroidそれぞれで担当が分かれていました。しかし、現在はリニューアルに伴い、iOSとAndroidのどちらでも動作するFlutterという技術を採用して開発を進めています。そのため、現在の開発体制はiOSとAndroidの担当者に加えて、Flutterの担当者が混在する形になっています。──スタッフのみなさんの働き方の環境は、どのような形になっていますか?基本、フルリモートです。対面でお会いしたことがない方もかなりいらっしゃいます。また、半分以上は国籍が中国の方で、中国在住だったり、韓国の方もいらっしゃいますので、意図せずグローバルなメンバーになっています。──それはやはり、ライブコマース大国だからこそ、中国の方を登用したのですか?そういうわけでもないですね。もともと、日本に住んでいる中国の方が知り合いにいて、その方がちょうど参画するタイミングで中国に移住されたため、現在は中国在住です。ただし、中国はライブコマースが日本より3年ほど先を行っているため、日常生活の中でその文化に触れていることから、特有の知見を持っていると感じることはあります。また、日本と中国ではエンジニアの人口が桁違いです。国籍を問わずに採用活動を行うことで、優秀なエンジニアを確保しやすくなるという側面もありますね。──日本と中国のエンジニアのペルソナ像の違いは、ありますか?エンジニアの方々を表現する際に、私はよく武田信玄が軍旗に掲げたと言われる「風林火山」の故事になぞらえて、それぞれの特性を表現しています。私の経験上、日本のエンジニアは「山のごとし」で、堅実で着実に物事を進める方が多い印象です。一方、中国のエンジニアはスピード感を重視する傾向があり、「風」のような印象を受けます。もちろん、国籍で一括りにできるものではありませんが、国民性として、日本人は慎重で、中国人はスピードを重視する傾向があるように感じます。多様な特性を持つエンジニアが集まることで、お互いに足りない部分を補い合い、より良いものが作れると考えていますので、チームとしてのバランスは非常に重要だと考えています。──ここからフリーランス人材の活用についてのお話に移りますが、どのような課題や背景から業務委託の方を活用されて開発をされているのかをうかがいたいと思います。組織を急速に立ち上げなければいけなかったので、フリーランスや業務委託の方に協力いただいています。株式会社いつもにピースユーがグループインし、その後のPMI(買収後の統合プロセス)で組織の立ち上げや整理を進める中で、開発のソースコードやアーキテクチャの見直しも必要になりました。しかし、必要なエンジニアを正社員としてすぐに採用するのは、当時の状況では困難だと判断し、業務委託という形でのスピーディーな組織の立ち上げを選択しました。──最初は正社員の採用もご検討されていたのか、それとも業務委託で考えていたのですか?先程の事情もあり最初から業務委託で考えていました。M&Aの段階で、早急に組織を立ち上げる必要があったため、正社員の採用では間に合わないと判断しました。──Senyouを通してオファーして実際に稼働した人材が3名いらっしゃいますが、どのような方でしたか?全員アプリ開発のエンジニアでしたが、共通して誠実な方が多いという印象です。私たちが手がける事業は、新規事業としてまさにこれから更に多くしていこうというフェーズなので、ユーザー目線を持って「良いサービスを作ろう」という強い思いを持って開発に取り組めることが重要になります。Senyouさんからご紹介いただいた3名は、皆さんそういった想いを共有し、真剣かつ誠実に開発に携わって下さいました。技術力もさることながら、コンピュータサイエンスに対する深い知識をお持ちで、初期設計から安心して任せられる方が多かったのも印象的です。Senyouさんには、信頼できるエンジニアをご紹介いただきました。──参画していた時に具体的にはどのような成果が見られましたか?参画していただいたエンジニアの方々には、主に機能開発をしていただきました。株式会社いつもによるM&Aで、2023年の2月にグループに加わった際、以前から外部の企業が作成・保守していたシステムは、質の観点で理想的ではありませんでした。そこで、新しい組織を作り、一貫して内製化することを目指しました。その過程で、Senyouさんを通じて3名のエンジニアに徐々に参画していただきました。参画時点では、ソースコードや全体のアーキテクチャが整理されていない状態だったため、その難しい部分を担当していただきました。ソースコードを扱うのが大変だったり、ボトルネックが不明な部分がありましたが、細かく分析していただき、アプリを正常に動かすことができるまで、慎重に作業を進めてくださいました。また、使われているライブラリの更新など根幹の部分から提案をいただき、おかげでシステムが整備されたと実感しています。──フリーランスを活用するコツは、ありますか?フリーランスの方々との協業で重要だと感じているのは、「丸投げ」にしないということです。フリーランスの方は、皆さんプロフェッショナルとして、責任感と高い意識を持って仕事に取り組んでいらっしゃいます。しかし、社内メンバーとフリーランスの方々との連携や、フリーランスの方々同士の連携となると、どうしてもコミュニケーションの行き違いなどが発生しやすくなるのも事実です。そこで重要になるのが、企業側による適切なマネジメントです。具体的には、ソースコードのクオリティや役割分担については、エンジニアリングマネージャーの役割が重要です。またコミュニケーション方法や情報共有のルールを明確化し、プロジェクト全体を円滑に進めるためのプロジェクトマネージャーとして役割も重要です。最終的に責任を負うのは企業側ですので、その意識を持つことが大事だと思っています。 ──フリーランスの方を採用するときのポイントや見極め方はありますか?フリーランスのエンジニアを採用する際、一般的にはスキルを重視するケースが多いと思いますが、私はそれ以上にスタンスを重視するようにしています。最終的に作りたいものは誰かが使うものであり、ユーザー目線を持ってサービス開発に取り組めるエンジニアかどうかを大切にしています。それが企業向けのサービスであれ、消費者向けであれ、使う人の目線を持って開発できるかどうかが重要です。技術的にはこだわろうと思えばいくらでもこだわれますが、最終的にエンドユーザーに価値を提供できるかどうかはまた別の話です。サービスの全体像を俯瞰で広く見ることができ、しっかりと向き合っていきたいと思っているかどうかを重視しています。多少の技術力の不足は、ドキュメントを読むなり、経験を積むことで補うことができるので。──弊社を活用していかがですか?私が大事にしているスタンスを持ち、真摯に取り組む方々をご紹介いただけているので、スクリーニングがしっかりされていると感じます。人材の質だけでなく、Senyouさんの対応やサポートの質も非常に高いと思っています。エンジニアのサポートのために定期的にコミュニケーションを取ってくださったり、お支払いについても他社では見過ごされがちな部分をしっかりと管理していただいています。そのため、エンジニアのマネジメントや手続きについて、心配せずに済みますし、もっと重要な部分に集中することができています。さらに、開発で人が必要になりそうなタイミングで、ちょうどよく連絡が来ることもあり(笑)、Senyouさんは課題解決における営業が上手だなと感じています。──今後の社会において、フリーランスはどのような役割を担っていくとお考えですか?フリーランスの方々が社会全体でますます重要な役割を担っていくと考えています。最近では、もともとフリーランスを活用していなかった企業も、徐々に導入しているという話をよく聞きます。それは、労働市場が変化している証拠だと思います。特にエンジニアは人材不足であり、技術の必要性が企業のフェーズに応じて変わるため、柔軟性を持つフリーランスの方々を活用することが重要です。そのため、フリーランスを取り入れない選択の方が逆に難しいのではないでしょうか。また、フリーランス経験者も増えてきており、企業としてもコミュニケーションが取りやすくなっています。結果として、フリーランスを活用するハードルは下がっていくと思います。最終的には、フリーランスの方に協力してもらうために、企業側のリテラシーが重要になります。社内の方とは違う関わり方なので、企業側がしっかりマネジメントして、フリーランスの方が働きやすい環境作りをすることが必要で、企業側がその共通認識を持つことが大事だと考えています。