ドローン技術を駆使して社会課題を解決する株式会社CLUE。同社が掲げる「テクノロジーを社会実装し、世の中の不を解決する」というミッションのもと、ドローンが当たり前に飛び交う社会を目指し、さまざまなプロダクトを開発しています。今回は、同社の執行役員 プロダクト開発部長である柴山さまに、プロダクトのリリース当初から開発に携わっている弊社のCTOであるテが、対談インタビュー形式でお話を伺いました。テ:会社とプロダクトのご紹介をお願いします。柴山さま:私たちの会社では、「テクノロジーを社会実装し、世の中の不を解決する」というミッションを掲げています。今はドローンという技術に注目して、ドローンが当たり前に飛び交う社会を目指して、さまざまなプロダクトを開発しています。現在、主力となっているプロダクトは4つです。家屋の屋根や外壁のドローン点検を行う事業者さま向けには、ドローンの飛行アプリや関連手続きなどの業務サポートをパッケージとした「DroneRoofer」と、サポートの幅をドローン点検・リフォーム事業全体に広げたSFA/CRMアプリケーションの「RooferCloud」を提供しています。大規模な建設現場を扱うゼネコン企業さまなどに向けては、業界特化型の専用の飛行機能を実現する「ドローン施工管理くん」というプロダクトを提供しています。また、これらのプロダクトの提供や自社でのドローン運用で得られた知見を活用して、企業や自治体、団体がドローンを活用する際に必要な法令遵守・運用管理をオールインワンでサポートする汎用的なプロダクト「DroneCloud」を先日リリースしました。これらのプロダクトを通じて、我々がビジョンに掲げている「ドローンが当たり前に飛び交う社会」を目指しています。4つのプロダクトのうち最初にローンチしたプロダクトは「DroneRoofer」です。開発のきっかけは、ある屋根材卸の経営者の方からの「屋根点検は滑落なども多く、死亡や骨折につながる危険がある。リフォーム需要は伸びているのに供給できる労働力が減っていて、このままでは業界が崩壊してしまう。ドローンを活用してこれらの課題を解決できないか」という問い合わせでした。この課題に対する解決策としてDroneRooferの開発を始めました。現在、このプロダクトは全国47都道府県で導入されており、積水ハウス様を始めとする大手企業様でも全国的にご活用いただいています。DroneRooferは、我々がドローンの業務利用を社会実装までしっかりと導いた成功例の一つです。今後はこれまでの成功例やドローンに関する知見を活用して、さらに幅広い分野でサービスを提供することを目指しています。特に既存の知見を他の業界にも応用し、新たなチャレンジの領域を模索しています。ちょうど先日「Drone AI LAB」という研究開発組織の設立も発表させていただきました。研究開発の取り組みの中で得られた成果を積極的に活用して新機能や新プロダクトも展開していきたいと考えています。テ:DroneRooferのユーザー数も伸びてきていて、ドローンを使った点検が広がってきている印象があります。以前と比べて、国の後押しもあり、事業がやりやすくなっているという実感はありますか?柴山さま:そうですね。ドローンが受け入れられやすくなっているというのはあると思います。以前は、お客様にドローンを紹介する際、多くの方がドローンを見るのが初めてで、そこからスタートする商談が多かったです。しかし最近では、「ドローンに触ったことがある」「会社で保有している」「一度は使ってみたが、継続しなかった」といった具合に、ドローンにある程度馴染みのある方が増えてきています。ただし、ドローンに対する理解が深まるにつれ、お客様がより高い価値を求めるようになってきているのも事実です。そのため、多くのユーザー様にご活用いただいている現場に満足することなく、プロダクトとしてはより一層価値提供の幅を広げていきたいと考えています。テ:競合となるようなサービスはありますか?柴山さま:正直なところ、明確な競合はいないと考えています。似たサービスは存在しますが、それぞれターゲットが異なったり、会社としての重点が違っていたりします。それよりも、私たちが提供しているサービスは新しい市場を創出していくものだと捉えています。先ほどお話しした通り、国の後押しなどの影響もある中で、法律や市場の変化を見据えながら、いかに多くののお客様にサービスを活用していただけるかを意識することが重要だと考えています。全国的に中小規模の企業のお客様にご利用いただいていて一定の市場を作ることはできてきていますが、市場全体のシェアと考えるとまだまだですし、今後は大規模な企業のお客様での利用事例も増やし、市場をより活性化していきたいです。競争相手と戦うというよりも、市場をどのように広げていくかが鍵であると考えています。テ:ドローンは当初は一時的な流行に終わると思っていましたが、今のプロダクトの展開をみると、ドローンを飛ばすのに必要な手続きや法令遵守のための機能などさまざまなニーズがあってとても面白いですよね。最近、ご一緒して実装したものに画像解析技術もありましたね。今後追加したい機能や、まだ実現していないけれど「あったら良いな」と思う機能はありますか?柴山さま:画像解析については、必要な情報の抽出や写真の分類、異常の検出といった色々な活用を考えています。また、最近ではソーラーパネルの住宅への設置の義務化に向けた動きがあります。これに伴い、5年後、10年後にはそれらのパネルが劣化や故障を迎え、点検が必要になる時期が来ます。しかし、現時点ではその標準化が進んでいません。そうした将来のニーズに備え、ドローンで撮影した画像をどのように活用するかを考える必要があります。そういったサービスの提供こそが「ドローンが当たり前に飛び交う社会」の実現につながると考えています。テ:私も4年ほど貴社の開発に携わっていますが、最近は画像解析などの最新技術も活用しながら、よりユーザーのためになるという実感を持ってドローンの開発が進んでいると感じており、おもしろいなと思っています。柴山さんはすごく頭がよく、実現の難易度の高い機能を思い付かれることも多いですが、その発想を実現していくのは面白いです。どのようにしてそのようなアイデアを思いつくのか、とても興味があります。柴山さま:重要なのは、何のために作るのかというイシューを常に意識することと、誰がどんな状況で使うのかをしっかりとイメージすることだと考えています。例えば、ターゲットとする事業者が実際に点検をする場合、事前に何を準備して、何人くらいの作業者がどこに行き、どんな対象物をどうやって何枚くらいの写真を撮影するのか、撮影した写真をどのようにパソコンやモバイルデバイスに取り込むのか、後続の業務でどう活用するのか、どのように分担・共有するのかなど、1つ1つの詳細を深掘りしていきます。そうすることで、「これができれば一気に作業が楽になる」といった気づきが得られるのです。また、そのような議論を行う前に、ユーザーや社内の関係者に何度もヒアリングを行い、現状をしっかりと把握することが重要です。現状をしっかりと理解し、目指すべき姿を具体的に突き詰めていくことで、新しいアイデアが見えてくるのだと思います。テ:なるほど、ただ黙々と開発をするのではなく、ビジョン実現に向けた開発に携われるのはいちエンジニアとしても魅力的ですね。次に、開発体制について教えてください。柴山さま:開発チームは、フロントエンド、バックエンド、iOS、Android、品質管理、デザイナーという形で分かれています。各チームはプロダクト全体を横断して開発を進めています。開発手法は、アジャイル開発を採用しています。また、ある機能を特定の担当者に任せることは避けています。チケットが積まれている中から優先順位に沿って順番に作業を行い、別のメンバーがレビューをする形式を取ることで、知識やノウハウが特定の人に集中しないようにしています。──テさんから見た弊社の開発チームの強みは何かありますか?テ:安定した開発チームだと思います。普段一緒に開発することが多いバックエンドのエンジニアも非常に技術力が高いですが、ネイティブアプリのエンジニアも技術力が高いです。それぞれのチームが少人数で構成されていて、各チームが高いアウトプットを実現している点も特徴的です。おそらく、「ドローン」という題材が面白く、各チームがモチベーション高く開発できているのではと推測しています。また、一般的にベンチャー企業では短期的な事業方針の変更によってエンジニアの負担が増えることが多い印象ですが、CLUEさんにはそのようなイメージがありません。柴山さんが企画したプロダクトがしっかりと実現され、達成感を得られる環境が整っているように感じます。柴山さま:経営陣の2人がどちらもエンジニア畑の出身なので、システム開発に対する理解が非常に深いです。例えば、実際に作ってみないと費用がどれだけかかるかわからない場合や、技術的に難しい問題に直面する可能性があることに対しても、理解があります。また、過度に介入すると生産性が下がることも理解しており、私に信頼を置いてくれているというのもあるかもしれませんが、プロダクト開発について大きな裁量を与えられ、私たちが開発したものを事業にうまく活かしてくれています。テ:すごく大事なことですよね。私も色々な開発体制・環境を経験してきましたが、CLUEさんはとても働きやすい環境だと感じています。R&Dの要素も多い中で、試行錯誤しながら新しいものを実現し、それをビジネスに繋げていっています。モダンな開発手法を採用しているのでエンジニアも安心して仕事ができる環境が整備されていますね。実際、正社員だけでなく、業務委託の方々も携わられている期間が長いですよね。その理由としてはやはり、働きやすさやプロダクトのおもしろさなのでしょうか?柴山さま:そうだと思います。特にモバイル関連は非常にわかりやすい例で、ドローンを制御して飛ばすという魅力があります。Androidにも対応することになった際に、もともとiOSエンジニアとして働いていた方が自ら手を挙げて挑戦し、キャッチアップしてくれました。バックエンドに関しても、使用するフレームワークや技術をモダンなものに選定しているため、エンジニアにとっては刺激的で面白く感じられるのではないかと思います。また、クラウドインフラにも触れる機会が多いので、それも魅力の一つになっているのではないでしょうか。テ:現在、どのようなポジションの方を積極的に採用していますか?柴山さま:現在の開発規模を考慮すると、マネジメントのみに専念する人材よりも、チームの中に入って実際に手を動かしながらチームをまとめ、私と議論を重ねながらプロダクトの方向性を一緒に考えていくような人材が適していると考えています。テ:エンジニアとして採用され、徐々にプロダクトに関わる役割へと移っていくのは良い流れだと思います。エンジニアの中には開発だけを続けたい人もいるでしょうが、年齢を重ねるとその役割に飽きてくる人もいます。最近では、フリーランスのエンジニアでも単なる開発だけではなく、プロダクトに深く関わりたいと考える人が増えてきています。弊社でも、業務委託から正社員への斡旋を進めていますが、そうした意欲を持つ人であれば、まずは業務委託として働き、「このプロダクト、面白いぞ」と思った時に正社員になるのもありかなと。柴山さま:ありだと思います。後編を読む👇