後編では、株式会社CLUEが採用するラボ型開発とそのメリットについて柴山様とテが深掘りします。ラボ型開発を通じて、どのようにスピード感と品質を両立させているのか。そして、今後の開発体制について伺いました。本記事は対談インタビューの後編シリーズとなっています。前編はこちらからご覧いただけます。テ:次に、弊社のラボ型開発の活用についてお伺いしたいと思います。CLUEさんと関わり始めたのは、弊社の創業当初に榊原さん(株式会社CLUE取締役)から声をかけていただいたことがきっかけです。それから、RooferCloudの立ち上げにあたり、3~4人のラボのようなチームを編成しました。これまでの経験でノウハウも積み重ねてきたと思いますが、ラボ型の開発体制で「こういうことができたら良いな」と思うイメージや展望はありますか?柴山さま:ラボ型開発を導入した理由は、新しいプロダクトを可能な限り迅速に開発したかったからです。これまでモバイルとバックエンドのAPIの開発を行っていましたが、初めて本格的にフロントエンドを手がけることになりました。技術的な選定やその後のキャッチアップ、チーミングにかかる時間を考えると、一からチームを組成するのでは間に合いませんでした。スピード感と効率性を重視してラボ型開発で経験豊富なチームに入っていただくことを選択しました。テ:弊社のラボ型開発と自社内の開発をどのように使い分けしていますか?柴山さま:弊社では明確に使い分け基準を設けているわけではなく、社員や委託しているメンバーの状況やスキルセットを見ながら柔軟に対応しています。今は、新しいプロダクトや機能をゼロから開発する際にスピードが重要視される時は、ラボ型開発を活用することが多いです。こうしたプロジェクトでは自社にない知見を取り入れることが重要で、既存の専門知識を活用することで効率的に進めることができます。特に、大規模な新規プロダクトの開発や大きな機能追加の際には、自社の限界を超える知見を持つラボ型開発を頼りにし、迅速な実装を期待しています。これは、自社だけの経験に頼るのではなく、自社以外のプロジェクトでも蓄積された知識を活用することで開発スピードを上げるためです。テ:社内にリソースがなかったり、リソース調達がすぐには難しく、スピードが求められる場合は、外部に依頼してゼロから開発を進め、行けそうだと思ったら社内で体制を整えていく、そんな方針ですかね?柴山さま:そうですね。新しいアイデアが浮かびコンセプト作りをして、いざ「よし、作ろう」と決めたときに、スピード感が非常に重要だと考えています。もし開発に半年かかっているとしたら、その半年後にもう一歩先のプロダクトを作ることができません。そのため、最初のスタート部分のスピード感を特に重視しています。テ:他のクライアントさまからは、ラボ型開発を活用することでチームに知見を蓄積し、迅速に形にできるため、個々人に業務委託で依頼するよりも良いという話を聞きます。CLUEさんのアプリチームにも、そのようなノウハウが貯まっていますよね。柴山さま:はい。技術的な知見もそうですし、ドローン業界の特性や複数のプロダクトに関する理解が深い上で、コミュニケーションをし実装を進めています。これがあるからこそ、日々の開発がスムーズに進んでいるのかなと。テ:他社での経験や苦労、そこで得た知見を活用して問題を先回りして解決しています。また、チーム内での人事の変動があってもプロダクトの品質が維持され、開発が遅延しないというのはラボ型開発のメリットですね。4年ほど一緒にやってきて、やりやすかった点はありますか?柴山さま:私がCLUEに転職した際、御社に最初に機能開発をお願いした時に、開発のスピードが予想の3倍から5倍と非常に速く驚きました。めちゃくちゃ速くて(笑)。これはどういうこと?くらいの速さだった。そのスピードには今も助かっています。また、高い技術力で複雑な課題にも対応していただける点でも助かっていますが、特にありがたいのはコミュニケーションです。開発のプロジェクトやマネジメントの理解があることで、目標のリリース時期を共有し、必要なタスクを確認し合いながらスムーズに会話できることが大変助かっています。テ:「立ち上げスピードの速さ」は、まさに弊社が強みとしている点の1つです。また、ラボ型開発のチームは発注側からして管理がしやすいという利点があるかもしれません。正社員やフリーランスの場合、一人ひとりを管理する必要があるのが大変です。ラボ型チームでは、人のマネジメントを考えなくても済みます。私のイメージでは、私たちは柴山さんの手足として動き、「こういうことをしたいんだ」という意図を形にしていく感覚で、絶妙にマッチしていると思います。他の大企業では、本来の業務以外の部分、例えば人の管理やケアに多くの時間が割かれることがありますが、ラボチームを使うことでコミュニケーションコストを下げられるのは大きなメリットではないかと思います。柴山さま:自社の採用方針にも関係しますが、技術的な部分は、ある程度の開発経験や知見があればキャッチアップできるので、最初の採用時にその分野の経験者でなくても構わないと考えています。開発チームがうまくいかない時に、コミュニケーションギャップが原因であることが多いと思っているので、入社時点での技術力よりも、会社のミッション・ビジョンへの共感や、チーム文化に馴染むかどうかを重視しています。弊社の開発チームの文化と現在組んでいるテさんのチームは非常にマッチしていて、そこは大切なところだなと感じます。テ:創業当初からご一緒させていただいているのが大きいかも知れませんね。そのころから比べると、RooferCloudというプロダクトもCLUEさんの当初、やりたいことからだいぶ変わってきていますよね。柴山さま:そうかもしれません。プロダクトとしてのコンセプトは変わらないのですが、機能面では当初の計画とは異なる部分も多いですね。テ:当初と比べると、プロダクトがちゃんと市場に合わせていっていて、現実味を帯びてきたので、安心するところでもあります。あとはなにより、作ってるものがすごく面白い。ビジュアル的な魅力もありますが、「これがあれば嬉しいだろうな」と思えるような機能を提供できている点で、サービスを構築する立場として大きな達成感を感じています。あと我々は正社員ではなく、業務委託ではありますが、CLUEさんの一エンジニア、チームメンバーとしてご一緒させていただいていますよね。柴山さま:そうですね。テ:難易度が高い機能を開発する際はかなりの時間を要するため、リリースが近づくと、時には2~3時間ビデオ会議で密に連携しながら作業することもありますよね(笑)。お客様に価値を届けるためのビジョンは柴山さんが考えてくださっているので、やりたいことを着実に進めていけば、最終的に形になり、売れるものが作れると私たちも信じています。自分たちが支援して開発したものがエンドユーザーに役立ち、CLUEさんの売上向上や新しいサービスの立ち上げにつながっていることは、私たちのモチベーションにもつながっています。柴山さんから見た、Senyouの強みだと感じるところを教えていただけますか?柴山さま:Senyouさんの強みは、新しいアイデアについて相談した際の前向きな対応です。エンジニアには、既存の知見だけを元に「できない」と返答する人と、難しくても調べて「こうすればできる」と提案する人がいると思います。Senyouのテさんは完全に後者ですね。新しい挑戦に対して「できない」と一蹴されると、辛い気持ちになりますが、テさんを中心に御社は常に前向きな姿勢で一緒に考えてくれるため、とても助かっています。通常なら実現が難しいことをどうにか2人でディスカッションしてひねり出すという感じでやっていました。一緒に解決策を見出すために歩んでくれるのは、良い点だと感じています。テ:ありがとうございます、なんか恥ずかしいですね(笑)。もしあればですが、私だけではなく、チームとしての良い点やこういうふうにできるとありがたいというのがあればお伺いできますか?柴山さま:私自身で言うと、オンサイトやオフサイト、金融系、IoTなど色々な条件での開発プロジェクトを進めた経験があるため、知識の伝達やギャップの発生を防ぐ方法は理解しているつもりです。それでもラボ型チームと自社の開発チームが共存する際、全体としてどうチームを機能させて開発を進めていくかという点で課題が生じることがあり、それを乗り切るためには「他社ではこのようにして成功しました」というような、もう一歩先のアドバイスがあると参考になりありがたいです。Senyouさんのチームからも、外部の成功事例を積極的に共有し、プロジェクト全体の改善に寄与していただけると、さらなる成功に繋がるのではないかと考えています。テ:たしかに、全体の開発リソースの使い方で、我々から何かできることがあればいいですね。柴山さま:例えば開発のチケット管理は改善の余地があると考えています。現状、フロントエンドとバックエンドでリストを分けていますが、自社内でもフロントエンドの開発をする場合、そのコミュニケーションとチケットの分配をどうするか、指示を誰がどのように出すかの設計が必要です。依頼された側は遠慮して、「そこはちょっと口を出さないほうがいい」となってしまいがちですが、あえて一緒に話し合えるほうが助かるというのがあるのではないかなと思います。テ:弊社以外でも業務委託を活用されていると思いますが、外注の人材の活用のコツはありますか?柴山さま:開発チームに業務委託の方が加わった後、チーム内での区別なく一体となって作業を進めています。ただ、弊社の開発の1つの特徴として、技術領域が非常に広いんです。様々なプロダクトがあり、それぞれでフェーズも異なります。市場との相性も考慮し、適切な人材を配置することが重要です。ただチームとしては一丸となってやっていく。会社としては、いかにその一丸となったチームを作れるか、というのが重要だと思います。テ:契約形態や開発の手法というよりは、やりたいことや領域に応じて、それを叶えるために適切なリソースを調達し、あとはチーム一丸となって開発を進めていくということですね。その中の1社が、弊社であると。そのチームの一員としてこれまでやってこれていること、とても嬉しく思います。これからもどうぞよろしくお願いします!