──会社・サービスのご紹介をお願いします。岩城様:私たち、株式会社SliceCheeseは、「セキュリティの民主化を実現する。」をミッションにスタートアップから大企業まで、あらゆる企業のセキュリティレベル向上の支援をしています。サービスの軸は2つあり、1つ目は、セキュリティのコンサルティング事業です。コンサルティングのターゲットはスタートアップから上場企業まで幅広く対応していますが、特にニーズが高いと感じているのは大企業様です。昨今ではサプライチェーンを狙ったサイバー攻撃やハッカー側の生成AI活用により、企業の持つリスクが急増しています。また、従業員やサービスを多く抱える大企業は、どこがリスクとなり得るかの特定が困難なため、セキュリティの専門家を入れてリスクの発生源を推測して先回りしたセキュリティ施策の推進を行う傾向にあります。そのため、弊社のセキュリティコンサルティング事業では、大企業向けのコンサルティングが事業の中心となっています。2つ目は、資金や人材の余裕が少ないスタートアップや中小企業でもセキュリティ対策を実施できるように支援するセキュリティSaaSの開発です。グローバルなセキュリティフレームワークの準拠に必要なセキュリティ施策の推奨策を提案したり、システムの自動診断を行うことにより、企業が単価の高いコンサルタントを雇わずとも、グローバルのセキュリティフレームワークに沿った取り組みを自社で行えるようになります。また、弊社のセキュリティSaaSではサプライチェーン問題も重視しており、複数の子会社を持つ親会社(親組織)が、子会社(子組織)のセキュリティフレームワーク準拠状況を把握したり、子会社(子組織)が、実施している対策の証跡をあげることで施策のレビューなどを実施できる環境になっています。──SaaSの開発について、開発体制を教えてください。竹内様:現在、当社のエンジニアチームは5名で構成されています。そのうち1名がフルタイムでプロジェクトに携わっていただいています。開発チームのチーム編成においてはバランスを考慮し、フロントエンドとバックエンドのエンジニアを半数ずつ配置しています。チームの働き方は、基本フルリモートで、全員が集まる場として週に一度の定例ミーティングを設けています。それ以外の時間は、各メンバーが能動的に動ける環境の中で開発をしていただいています。開発では、アジャイル開発を採用しています。チーム内にアジャイル開発に精通したメンバーが在籍しているため、その方に指導を受けながら開発を進めています。──5名のエンジニアの中には、岩城様と竹内様のお二方も入っておられるのですか?岩城様:いえ、私たち2名はエンジニアのチームに含まれていません。現状はデザインとプロジェクトマネジメントを竹内が担当し、開発技術の提案やアーキテクチャ、その他開発に関する提案などはその配下にいるGoogle出身のフルスタックエンジニアの方に担当いただいています。バックエンド側のエンジニア2名のうち、1名がSenyouさんからご紹介いただいたメンバーです。──どのような背景や課題感からフリーランスを活用してサービスを作っていこうということになったのでしょうか?岩城様:スタートアップなので、最初から雇用すると、ニーズの変化やプロダクトの方向性に変化があった際に、スキルセットが合わなくなり、そのメンバーをどうするかといった人事的な問題に直面する可能性があります。そのため、まずは柔軟に対応できる業務委託から始めています。最初は業務委託で参画していただき、カルチャーフィットや既存のチームメンバーとの相性を確認した上で、正社員として迎える流れを想定しています。──Senyouを通して稼働している1名の方はどんな方でどのような成果を出されているのか、教えてください。岩城様:6月から参画していただいている外国籍の方です。この方は、日本に長い期間在住しているため、日本語が堪能で日本の文化にも精通しています。将来的にはエンジニアとしてアメリカで活躍したいという高い向上心を持っており、グローバルな視点と高いスキルを兼ね備えた、非常に優秀なエンジニアです。痒い所に手が届く存在で開発を牽引してくれています。竹内様:現在稼働しているエンジニアは、採用前にコーディングテストを実施しています。コーディングテストを行う企業はあまり多くないかもしれませんが、実際のスキルレベルがわかること、視点や癖などを知ることができ、一緒に働いた際のイメージがしやすくなると思っています。最近では、他のエンジニアの方と話す中で、コーディングテストを実施することに好印象を持つ方もいらっしゃることがわかりました。また、参画していただいた際に一定のスキルセットを持っているエンジニアと働けるなどの安心感を与えられるという意味でもテストを実施して良かったと感じています。このようなプロセスを経て採用したことで、スキル的にも弊社とミスマッチがなく、活躍していただいていると考えています。──今の話にも繋がりますが、フリーランスの人材の方を採用するときのポイントや見極め方はありますか。岩城様:弊社では、フリーランスの採用において、主に2つのポイントを重視しています。1つ目はカルチャーフィットです。まず、竹内が候補者を見つけてきた段階で、会社のメンバーとしてふさわしい人物であるか、性格や人格面での適合性を評価します。次に2つ目の技術力の確認があります。コーディングテストを実施し、候補者の技術的なスキルレベルや癖を評価します。コーディングテストと並行して、候補者のバックグラウンドやスキルについても話を聞き、自社のプロダクト開発や今後の会社に長く関わっていただくために活かせる経験や知見を持っているかどうかを確認します。──そのプロセスを踏んで会社のメンバーになった後に「ちょっと違ったな」というケースはありましたか?岩城様:それが、今のところ一度もないんです(笑)。現在参画していただいている5名のエンジニアとは、元々の知り合いであったこともプラスに働いていると思いますが、採用プロセスをしっかりと踏襲することで、カルチャーやスキル面でのミスマッチを防げていると感じています。今後、メンバー数が増えてコミュニケーションがさらに重要になるので、新しいメンバーを追加する際には、特に既存のメンバーとしっかりと意思疎通ができるかを確認しています。現在のメンバーには英語が話せない方もいるため、新しく加わるメンバーについては、グローバルな視点で英語が話せる方を求めています。ただし、現状においてはチーム編成の過渡期であり、日本語もある程度話せることを求めています。初期のメンバーからグローバルで活躍するメンバーへと、だんだん求める特性が変わっていくと考えています。現在は、既存メンバーとの適合性を非常に重視しています。竹内様:私たちの会社は選考のハードルが高く、かなり多くの候補者をお断りしています。少しでも違和感を感じた場合は、基本的に採用を見送る方針をとっています。このこだわりが重要だと考えています。選考ではこれまでに20〜30人程度の方にお会いしてきました。選考プロセスとしては、最初に私の方でスクリーニングを行い、その後、岩城やエンジニアによるカルチャーフィットとスキルセットの評価を行っています。しかし、面接した30人のうち、最終的にスキルチェックまで進むのは5人程、その中で実際に採用候補者として残るのが1人程度です。私の持論ですが、エントリーマネジメントが重要だと考えています。最初の段階で少しでも手厚い指導が必要な人を採用してしまうと、立ち上がりの対応に多くの時間を割くことになります。一方、入り口でしっかりと選別を行っているため、入社後の立ち上がりが早く、自立までの時間も短縮されます。また、一度だけレトロスペクティブ(振り返り)を行いましたが、私たちの会社の文化としては、何でも意見を言えるフラットな環境がうまく整えられていると感じています。チームメンバーが「これは良くないのではないか」や「こうした方が良いのでは」と多くの提案をしてくれます。全員が自立して「これはこうした方がいいと思い、実行しました」と自発的に行動できる組織に育ちつつあります。これは非常に大きな成果だと感じています。──今は入口の話でしたが、フリーランスの方が新しいメンバーとして入った後にプロジェクトを円滑に進めていくためのコツはありますか?岩城様:毎日15分でも構わないので、しっかり口頭で話す時間を設けるようにしています。私はコンサルティング業務に多くの時間を割いているため、竹内がメインで対応していますが、打ち合わせの様子を録画して共有してもらっているので、メンバーが日々取り組んでいるタスクや抱えている問題を把握することができています。課題が表面化しにくいときでも、定期的に話し合うことで、必要な情報を引き出し、適切に対応できるようにしています。また、メンタルのケアというわけではありませんが、ビジネスは人と人との関わりから成り立っているので、テキストだけのやり取りでは見えにくい部分も、口頭でのコミュニケーションを通じてケアできていると感じています。──仕事の話だけでなく、プライベートの話についても15分の中で雑談されているのですか?竹内様:たまにすることもありますが、それほど頻繁にはしていないですね。強いて言うなら、私がSlackをこまめにチェックしていて、様々なチャンネルで交わされている会話を全てチケット化しています。さらに、週に1回「この話題について議論していましたが、その後どうなっていますか?」と確認するようにしています。この点が他の企業と少し違うところかもしれませんが、特に特殊なことをしているわけではないと思います。──これまでSenyouを活用してみて、いかがですか?岩城様:提案いただく人材のマッチ度が非常に高く、他の人材会社と比較して、しっかりとフィルタリングを行って選んでいただいていると感じています。竹内様:もう1つあります。実際に私たちがその制度を使うかどうかは別として、正社員採用を前提とした入り方がある点に好印象を持ちました。その結果、業務委託の方々の中でも「長く働きたい」や「キャリアを真剣に考えている」人たちが自然と集まってくるのではないかと思います。他にはない制度であり、そういった制度があること自体が魅力的だと感じました。──御社の場合、採用方法が正社員採用に近いと思うので、フィット感があるのかなと思います。最後になりますが、会社や今後の社会において、フリーランスの活用がどのような役割を担っていくとお考えですか?岩城様:フリーランスと正社員の違いという観点で、会社にとってフリーランスで参画いただける方が有益だと感じる点が2つあります。1つ目は、スポット的に短期間で業務に参加してもらえることです。「この半年だけ入ってほしい」や「3カ月だけ参加してほしい」といった状況で、時間契約で柔軟に対応が可能です。また、フリーランスの方は他のプロジェクトにも関わっており、当社のプロジェクトに30%携わりながら、残りの70%を他社での活動に充てています。こうした場合、外部の知見を取り入れやすい点も大きなメリットだと考えています。もう1つのポイントは、正社員として雇用する際のリスク軽減です。正社員を雇用した後にすぐに契約を解除するのは難しいため、まずはフリーランスとして試用期間のような形で働いてもらいます。その後、会社にとって必要な人材だと判断した場合に正社員にするという流れが考えられます。これが現行の日本の雇用形態や法律において、フリーランスを活用する大きな魅力だと感じています。竹内様:候補者の所属している会社が副業を認めている場合、最初から正社員としてオファーをすると相手が身構えてしまうことがありますが、まずは副業から始めて、気がつけば弊社にどっぷり関わるようになっているという流れも考えられます。こうしたプロセスが両者にとってメリットがあると感じています。